令和2年度 日鋼記念病院 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 412 97 199 209 320 395 640 1288 852 191
 『地域がん診療連携拠点病院』である当院は、北海道の広大な医療圏の一つである西胆振地域の中で地域医療の中核として質の高い医療を幅広い年齢層の患者さんに提供しています。西胆振地域は北海道の中でも高齢化率が高い傾向に有り、当院においても60歳以上の患者さんの占める割合が6割を超え、症状が比較的重症になりやすい高齢者の入院が多くなる傾向にあります。
 また、小児期の患者さんが多くなっている理由は、『地域周産期母子医療センター』の役割として、早産等で小さく産まれた赤ちゃんや具合の悪い赤ちゃんを集中的に治療していることなどが挙げられます。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050130XX97020X 心不全 その他の手術あり 手術・処置等1 なし、1あり 手術・処置等2 2あり 副傷病なし 28 59.11 36.61 21.30% 90.96
040081XX99X0XX 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2 なし 17 49.00 20.51 17.65% 83.65
050050XX9910XX 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等1 1あり 手術・処置等2 なし 14 2.14 3.07 0.00% 75.57
180010X0XXX3XX 敗血症(1歳以上) 手術・処置等2 3あり 11 117.18 37.36 0.00% 76.64
050050XX9920XX 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等1 2あり 手術・処置等2 なし 10 2.00 3.26 0.00% 77.20
 内科では心不全に対する治療の患者さんが最も多くなっています。心不全の患者さんは平均年齢が高く、後期高齢者の患者さんが多くなっていることがわかります。高齢者は心臓そのものの病態に加え、心不全を増悪させる要因も多く、感染症、貧血、腎不全、甲状腺疾患等の全身要因への治療も行われることから入院日数が長くなっています。2位は誤嚥性肺炎です。誤嚥性肺炎とは、唾液や胃液が細菌と一緒に肺に到達することで発症する肺炎の一種です。肺炎の患者さんは高齢になるほど重症になる傾向があり、2週間以上の入院となることが多いです。肺炎のデータに関しては、『指標4.成人市中肺炎の重症度別患者数等』もご参照ください。誤嚥性肺炎の入院では、日常生活のための基本的な動作が困難で、自宅療養が難しく施設入所を希望される患者さんもおられますので、その調整に期間を要すること等から入院日数が長くなっています。
 3位と5位は狭心症の検査入院です。胸の痛みや息苦しさ・動悸等に対し、狭心症等の虚血性心疾患を疑い、心臓カテーテル検査を行う検査入院です。心臓カテーテル検査とは、合成樹脂でできた細長い管のカテーテルを腕や大腿の動脈から入れ、血管を通して心臓まで到達させ、心臓の働きや病気の種類・重症度を診断する検査です。心臓カテーテル検査をすることで、どの程度血管が狭くなっているか等、詳細に調べることができます。検査の内容によってDPCコードが違い、3位と5位に分かれています。
 4位は敗血症(細菌、ウイルス、真菌が血液中に入って全身に回り、臓器不全等、全身症状を伴う病気)治療で、重症化し持続緩徐式血液濾過(血液を取り出して、有害物質を除去した後に身体に戻す方法)を必要とした症例です。合併症を併発すると予後に大きく影響する可能性がありますので、適切な処置を行うことが重要です。敗血症に繋がる感染は主に、肺、腹部、もしくは尿路であることが多い傾向にあります。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
140010X199X0XX 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 手術なし 手術・処置等2 なし 154 6.75 6.13 0.65% 0.00
100335XX99X2XX 代謝障害(その他) 手術なし 手術・処置等2 2あり 50 1.00 6.24 0.00% 19.52
140010X299X0XX 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重1500g以上2500g未満) 手術なし 手術・処置等2 なし 34 9.21 11.19 0.00% 0.00
140010X299X2XX 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重1500g以上2500g未満) 手術なし 手術・処置等2 2あり 14 32.00 4.85 0.00% 0.00
030270XXXXXXXX 上気道炎 14 7.14 6.46 7.14% 2.86
 小児科では『地域周産期母子医療センター』として、早産などで小さく産まれた赤ちゃんや具合の悪い赤ちゃんを集中的に治療しているため、新生児の患者さんが最も多くなっています。新生児特定集中治療室(NICU)を備えており、ハイリスクの妊婦さんを産婦人科と協力して管理し、赤ちゃんに治療が必要になった場合にも、お母さんと離れることなく治療ができます。3位、4位も同様です。
 2位は、希少疾患・難病と言われている先天性代謝異常症のうちライソゾーム病(ファブリー病・ムコ多糖症・ゴーシェ病等)に対して、
酵素補充療法(体内に不足している酵素を注射で補充する)を行った症例です。酵素補充療法を受けることで症状の改善や病気の進行を遅らせることが期待できます。
 同率4位は、急性上気道炎(かぜ)といった小児呼吸器疾患の症例が挙げられます。急性上気道炎は患者さんの平均年齢が2.86歳であり、小さなお子さんの呼吸器治療の重要性が分かります。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280XX03X0XX 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 内シャント血栓除去術等 手術・処置等2 なし 200 3.48 4.51 0.00% 70.14
090010XX010XXX 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。))等 手術・処置等1 なし 33 11.21 10.30 0.00% 63.61
060160X001XXXX 鼠径ヘルニア(15歳以上) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 23 4.17 4.86 0.00% 70.91
110280XX02X00X 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等2 なし 副傷病なし 23 13.17 8.15 4.35% 65.74
090010XX99X4XX 乳房の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 4あり 22 2.00 4.15 0.00% 62.64
 外科で最も多い症例は、腎臓の機能が低下し働かなくなった腎臓に代わって人工的に血液を浄化する人工透析を行う患者さんに、血液の「送り出し口」「戻り口」である『シャント』が狭くなってしまったり、血栓が生じてしまった場合に除去をする手術症例です。手術の名称によって1位と同率3位に分かれています。
 2位は乳癌に対する手術療法、5位は薬物療法(抗癌剤、分子標的薬治療等)のため計画的に短期入院を行う症例です。
 同率3位は鼠径(そけい)ヘルニア(脱腸)に対する手術症例です。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800XX01XXXX 股関節・大腿近位の骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 78 34.14 25.09 16.67% 84.54
160690XX99XXXX 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 手術なし 31 29.10 18.81 16.13% 81.45
160760XX97XX0X 前腕の骨折 手術あり 副傷病なし 26 11.00 5.18 0.00% 61.65
070230XX01XXXX 膝関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 18 35.00 23.36 0.00% 76.44
160720XX01XXXX 肩関節周辺の骨折・脱臼 骨折観血的手術 肩甲骨、上腕、大腿等 14 32.36 15.03 14.29% 74.64
 整形外科では、大腿骨の骨折に対して手術を施行している患者さんが最も多くなっています。次いで、胸椎、腰椎の圧迫骨折の疼痛管理、リハビリ目的で入院される患者さんが多く挙げられます。
 3位は、前腕の骨折です。他の疾患に比べて、平均年齢が若いことが分かります。
 4位は、変形性膝関節症に対する手術です。変形性膝関節症とは、高齢者で最も多い膝関節痛の原因であり、進行すると歩行障害等、日常生活に支障が出てくるため、関節の一部または全部を人工関節に置き換える手術治療を行っている症例です。
 5位は、上腕や肩関節周囲の骨折です。前腕に比べて平均年齢が高くなっていることが分かります。
 平均年齢を見ると、3位以外の症例において高齢の患者さんであることが分かります。高齢の患者さんが転倒等で骨折された場合、在院日数が比較的長くなることが多いです。
形成外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020230XX97X0XX 眼瞼下垂 手術あり 手術・処置等2 なし 17 5.41 3.07 0.00% 76.29
080010XXXX0XXX 膿皮症 手術・処置等1 なし 17 17.18 12.87 11.76% 57.18
080006XX01X0XX 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) 皮膚悪性腫瘍切除術等 手術・処置等2 なし - - 7.71 - -
080007XX010XXX 皮膚の良性新生物 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)等 手術・処置等1 なし - - 4.06 - -
100100XX97X0XX 糖尿病足病変 手術あり 手術・処置等2 なし - - 9.86 - -
 形成外科で最も多い症例は、眼瞼下垂(上まぶたが下がって眼が開きにくくなり、視野が狭くなったりものが見づらくなったりする状態)
に対してまぶたを上げる手術治療で、局所麻酔にて行います。
 同率1位は、蜂巣炎(皮下組織の炎症)に対する治療が挙げられます。抗生剤の投与を主に行います。症状が悪化し膿瘍を形成した場合には皮膚の切開・排膿を行うこともあります。
 3位は皮膚癌の手術症例です。進行すると、切除の範囲が大きくなる、切除不可能になる、転移をする等、治療が困難になってきます。早期発見し受診をすることで、かなり高い確率で治癒が望めます。
 4位は、皮膚の良性腫瘍(悪性ではない腫瘍や、皮下で脂肪が増殖してしまっている脂肪腫等)を摘出、切除している症例です。
 5位には、糖尿病による難治性皮膚潰瘍(皮膚が欠損している状態が治らないこと)に対する植皮等の治療症例が挙げられます。様々な治療を行っても治癒が進まず足の切断等を余儀なくされる場合もあり、特に糖尿病患者さん等、免疫機能の低下した患者さんにおいては、致死的な感染症や脱水・出血の原因となる危険性がありますので、多くの診療科と密な連携をとりながら患者さんの最善となるよう治療にあたっています。

※厚生労働省の公開条件に従い、10症例未満は【-】で表示しています。
産婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120180XX01XXXX 胎児及び胎児付属物の異常 子宮全摘術等 51 8.90 9.45 0.00% 32.47
120170X199XXXX 早産、切迫早産(妊娠週数34週未満) 手術なし 29 24.10 21.68 6.90% 29.41
120260XX01XXXX 分娩の異常 子宮破裂手術等 28 8.82 9.45 0.00% 31.32
120060XX02XXXX 子宮の良性腫瘍 腹腔鏡下腟式子宮全摘術等 27 7.19 6.10 0.00% 46.07
12002XXX99X40X 子宮頸・体部の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 4あり 副傷病なし 25 3.28 4.44 0.00% 64.88
 産婦人科で最も多い症例は、そのほとんどが帝王切開術の症例となっております。3位も帝王切開術の症例となっています。西胆振地域唯一の『地域周産期母子医療センター』として、周産期医療にも力を入れておりますので、周産期関連の疾患が最も多くなっています。
 2位は、切迫早産による管理入院となっています。入院し早産にならないよう安静に過ごします。
 4位の子宮の良性腫瘍とは主に子宮筋腫(子宮の筋肉にできる良性腫瘍)のことを指します。年齢や症状によって治療方法は変わりますが、侵襲の低い腹腔鏡下で子宮を全摘するものが多くみられました。これ以外にも、子宮筋腫核出術により筋腫部分のみ摘出する治療もしています。
 5位は、子宮頸癌(子宮の入り口にできる癌)や子宮体癌(子宮の奥にできる癌)の薬物療法(抗癌剤、分子標的薬治療等)のために計画的な短期入院を行う症例です。
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020110XX97XXX1 白内障、水晶体の疾患 手術あり 両眼 180 4.03 4.95 0.56% 75.32
020110XX97XXX0 白内障、水晶体の疾患 手術あり 片眼 104 1.77 2.76 0.00% 71.13
020220XX01XXX0 緑内障 緑内障手術 濾過手術 片眼 - - 9.79 - -
020240XX97XXX0 硝子体疾患 手術あり 片眼 - - 5.65 - -
020160XX97XXX0 網膜剥離 手術あり 片眼 - - 8.97 - -
 眼科の入院はほとんどが手術目的となります。
 1位、2位は白内障に対する手術である水晶体再建術(濁った水晶体を取り除いて、眼内レンズに置き換える手術)で、集計対象症例のほとんどを占めます。両眼、片眼でDPCコード、名称が分かれています。
 次に多い症例は、緑内障の手術症例です。緑内障は何らかの原因で視神経が障害され視野が欠けたり狭くなったりする病気で、手術は眼圧を下げて進行を防止し、失明を予防するために行います。
 4位は硝子体出血(眼球内の出血が硝子体に溜まった状態)に対する手術治療が挙げられます。
 5位は網膜剥離で、網膜が何らかの原因により眼球壁側から剥離したことを指し、放置することで失明の危険性がある重篤な疾患です。

 現在、専門医1名体制で診療を行っているため、初診の患者さんは紹介状をお持ちの方のみ受け付けています。

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耳鼻咽喉科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030250XX991XXX 睡眠時無呼吸 手術なし 手術・処置等1 あり 34 2.00 2.04 0.00% 60.26
030350XXXXXXXX 慢性副鼻腔炎 29 8.14 6.71 0.00% 55.24
030150XX97XXXX 耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍 手術あり 21 8.43 7.20 0.00% 64.81
030428XXXXXXXX 突発性難聴 19 8.74 8.81 0.00% 58.11
030230XXXXXXXX 扁桃、アデノイドの慢性疾患 16 8.50 7.94 0.00% 16.81
 耳鼻咽喉科で最も多い症例は睡眠時無呼吸症候群(睡眠時に呼吸が停止または低下)に対する検査入院です。1泊2日で入院をします。睡眠時ポリグラフ(酸素飽和度、呼吸音、心電図、胸郭運動等)のモニターを一晩行い無呼吸の原因や程度等について解析します。
 2位は、副鼻腔炎(蓄膿症)に対する内視鏡手術症例です。副鼻腔(顔の内部にある空洞)を鼻腔(鼻の穴)内に広く開放して、副鼻腔の換気をよくすることを目的に手術します。当院ではナビゲーションシステム(術中の器具の位置を、術前に撮影した精密なCT画像上に表示させるもので、カーナビゲーションで現在の位置がわかるものと同じシステム)を導入し、より安全、確実な手術治療が可能となっています。
 3位は、耳鼻咽喉器官にできた腫瘍を切除・摘出している症例です。摘出した時点では良性悪性がわかっておらず、摘出組織を病理検査にかけて良性悪性の判断を行っております。
 4位は、突発性難聴(突然聞こえが悪くなる、大きな耳鳴が起こり持続する等の症状で発症)で、できるだけ早期に治療すれば治る可能性のある難聴であり、程度の強い場合は10日間の入院点滴治療と高圧酸素療法(大気圧より高い気圧環境の中で酸素を吸入することで病態の改善を図る治療)を行います。
 5位は、慢性扁桃炎に対して治療を行っている症例です。症状によって抗生剤等投薬のみで治療する場合と、手術で扁桃を摘出する場合があります。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110080XX991XXX 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 あり 23 3.48 2.54 0.00% 71.52
110420XX02XX0X 水腎症等 経尿道的尿管ステント留置術等 副傷病なし 19 4.89 4.13 0.00% 78.42
110070XX03X20X 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等2 2あり 副傷病なし 16 8.12 7.05 0.00% 74.50
110310XX99XXXX 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 15 15.73 13.00 6.67% 68.27
040040XX99040X 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 4あり 副傷病なし 14 5.43 9.42 0.00% 72.93
 泌尿器科は、前立腺癌の疑いに対する前立腺針生検を行う症例が最も多いです。超音波ガイド下にて専用の針を使用し、前立腺から組織を採取して顕微鏡検査を行います。
 2位は、何らかの原因によって尿路に閉塞を来した水腎症(満杯になった尿によって尿路が拡張してしまった状態)の症例です。尿路外からの尿路圧排が原因の水腎症には内視鏡手術として尿管ステント(管)の挿入や、背中から腎臓へカテーテル(管)を入れる手術を行います。
 3位の膀胱癌はTUR-Bt(経尿道的切除術)と薬物療法(抗癌剤治療)目的の患者さんが挙げられます。組織診断と治療をかねて内視鏡的切除を行い、切除組織の顕微鏡検査で癌の悪性度、深達度等を正確に評価します。膀胱内再発予防の目的で抗癌剤膀胱内注入を行います。
 4位は、腎臓に起こる感染症へ対する治療です。痛みが激しく高熱が続く等、重症の場合は入院治療として抗菌薬の点滴を行います。
 5位は、膀胱癌からの転移性肺癌に対し、繰り返し薬物療法を行っている症例のため、肺の悪性腫瘍のDPCコード、名称となっています。
呼吸器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040XX9910XX 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 30 2.73 3.39 0.00% 75.73
040040XX9909XX 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 9あり 27 8.89 10.65 0.00% 78.74
040040XX99081X 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 8あり 副傷病あり 17 8.18 13.64 0.00% 70.41
040040XX97X9XX 肺の悪性腫瘍 手術あり 手術・処置等2 9あり - - 29.80 - -
040110XXXXX0XX 間質性肺炎 手術・処置等2 なし - - 18.61 - -
 呼吸器内科では呼吸器の癌として最も多い、肺癌の患者さんが最も多くなっています。
 1位の症例は肺癌の確定診断を目的に行う気管支鏡検査(内視鏡で気管や気管支を直接観察する)、針生検(顕微鏡で観察を行うために針を用いて組織や体液を採取する)といった検査入院です。その結果に基づいて手術治療、薬物療法、放射線治療等を組み合わせた治療計画を立て、肺癌を制御し、症状を軽減して生活の質を高めます。
 2位~4位の症例は、肺癌の薬物療法(抗癌剤、分子標的薬治療等)のために計画的な入院治療を行っている症例であり、使用するお薬の違いでDPCコード、名称が分かれています。
 5位は間質性肺炎です。肺の奥にある「肺胞」の薄い壁の中に炎症や損傷がおこって壁が厚く硬くなり(線維化)、ガス交換がうまくできなくなる病気で、治療方法はその病態によって様々です。

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糖尿病・代謝内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
10007XXXXXX1XX 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 手術・処置等2 1あり 52 26.02 14.60 17.31% 70.65
10007XXXXXX0XX 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 手術・処置等2 なし - - 11.26 - -
10006XXXXXX1XX 1型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 手術・処置等2 1あり - - 13.57 - -
110280XX02X00X 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等2 なし 副傷病なし - - 8.15 - -
100040XXXXX00X 糖尿病性ケトアシドーシス、非ケトン昏睡 手術・処置等2 なし 副傷病なし - - 13.33 - -
 1位、2位が糖尿病・代謝内科の症例で最も多く、2型糖尿病(遺伝的な素因に肥満等が加わって発症)の教育、合併症検査の入院です。その結果に基づいて、最適な治療法を決定することが目的となっています。また、血糖値の高い患者さんが外科・眼科等、他の診療科で手術をする前に、入院して血糖コントロールを行う場合、その他感染症に伴う高血糖や低血糖による入院、インスリン導入目的によるもの等があります。1位と2位の違いは、インスリン導入の有無の違いでDPCコード、名称が分かれています。
 3位には1型糖尿病に対する症例もあります。1型糖尿病の患者さんは、膵臓からインスリンがほぼ出なくなるため、インスリン注射で補う治療が必須となります。入院して血糖コントロールを行う等の患者さんがいます。
 4位、5位の、糖尿病の3大合併症の1つである糖尿病性腎症や、ケトアシドーシス(ケトン体が血中に増え、血液が酸性化した状態。体の様々な働きが低下し、重症になると昏睡に陥ってしまう危険な症状)の治療も入院で行っています。

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消化器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060100XX01XXXX 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 233 2.94 2.66 0.00% 66.18
060035XX99X6XX 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 6あり 54 3.43 4.51 0.00% 70.46
060340XX03X00X 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2 なし 副傷病なし 46 13.54 9.53 4.35% 81.20
060035XX99X7XX 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 7あり 40 4.28 4.94 0.00% 74.12
060102XX99XXXX 穿孔又は膿瘍を伴わない憩室性疾患 手術なし 35 8.71 7.74 0.00% 59.23
 消化器内科の最も多い症例は大腸腺腫や大腸ポリープに対する内視鏡的治療(粘膜切除、ポリペクトミー)となります。大腸内にできた良性腫瘍を約50倍に拡大する最新の拡大内視鏡や特殊光観察、AI内視鏡による精密診断を実施し、内視鏡で摘出する治療です。粘膜切除、ポリペクトミーの手術データに関しては、『指標6.診療科別主要手術別患者数等』<消化器内科>もご参照ください。
 2位、4位は大腸癌の薬物療法(抗癌剤、分子標的薬治療等)のため計画的に短期入院を行う症例となっています。薬物療法のお薬の違いでDPCコード、名称が分かれています。昨今、ほとんどの治療が外来で施行可能となっておりますが、薬物療法の初回導入時やお薬の種類によって入院の対象となります。患者さんの生活の質(QOL)をなるべく下げることなく癌の治療を継続することを目標としているため、短期間の入院となっております。
 3位は胆石症の症例で、緊急対応が必要な場合が多く、積極的に内視鏡治療を行っています。 
 5位は結腸憩室症の症例です。結腸憩室症とは結腸管壁の一部が外側へ袋状に突出した状態です。憩室が炎症を起こしたり、出血することがあるため、患者さんの状態に併せて絶食管理や、抗生剤の投与を行っています。
 このように、消化器内科では消化器全ての疾患に対して幅広く対応しています。内科・外科との連携を緊密に行い、緊急度の高い疾患に対しても迅速に対応することをモットーとしています。消化器癌に対しては、内視鏡治療や外科治療のみならず薬物・放射線療法をはじめとした集学的治療を積極的に行っています。
消化器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060035XX99X6XX 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 6あり 20 4.05 4.51 0.00% 78.45
060040XX99X6XX 直腸肛門(直腸S状部から肛門)の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 6あり 17 3.00 4.48 0.00% 77.06
060020XX99X7XX 胃の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 7あり 12 2.00 6.93 0.00% 75.67
060035XX99X5XX 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 5あり 11 3.00 4.42 0.00% 75.00
060150XX03XXXX 虫垂炎 虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの等 10 5.40 5.44 0.00% 41.20
 消化器外科で最も多い症例は癌に対する薬物療法(抗癌剤、分子標的薬治療等)のため計画的に短期入院を繰り返すというものが挙げられます。1位、2位、4位は、大腸癌に対する薬物療法のお薬の違いや大腸の部位の違いでDPCコード、名称が分かれています。
 3位は、胃癌に対する薬物療法です。
 5位は、虫垂炎に対する手術症例です。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 17 - - 16 - 33 1 8
大腸癌 - 11 40 132 10 65 1 8
乳癌 23 37 11 - - 28 1 8
肺癌 13 12 30 15 18 17 1 8
肝癌 - - - - - 15 1 8
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
 5大癌(胃癌、大腸癌、乳癌、肺癌、肝癌)の患者さんの人数を初発は(StageⅠ)から(StageⅣ)のUICC病期分類別と再発の患者さんの人数で集計しています。

【UICC病期分類について】
 国際対がん連合(UICC)によって定められた①原発巣の大きさと進展度、②所属リンパ節への転移状況、③遠隔転移の有無の3つの要素によって各癌をⅠ期(早期)~Ⅳ期(末期)の4病期(ステージ)に分類するものです。

 当院では、消化器内科・外科にて胃癌、大腸癌、肝癌の患者さんを、呼吸器内科にて肺癌の患者さんを、外科にて乳癌の患者さんを診療しています。

 大腸癌・肺癌のステージⅢ期~Ⅳ期の割合が高く、手術や薬物療法(抗癌剤、分子標的薬治療)等、患者さんの状態に合わせた幅広い治療を実施しています。ステージⅢ期~Ⅳ期の患者さんの割合が多くなっていますが、これは1人の患者さんが薬物療法等で複数回入院された場合もそれぞれ1例として集計しているためです。また、胃癌のステージⅣ期の割合についても、大腸癌・肺癌と同様、薬物療法等により複数回入院されているためです。(令和2年度に退院した患者さんの延べ数にて集計)

 乳癌は、ステージⅠ期~Ⅱ期の割合が高くなっています。乳癌検診(マンモグラフィー検査)や乳腺に対する生検といった、診断を確定させるための検査を積極的に行っております。また、腫瘤を伴わない石灰化だけの症例にも対応できるステレオガイド下マンモトーム生検を行っており、早期発見・早期治療が実践されています。
 胃癌のステージⅠ期については、胃カメラの検診による早期発見で内視鏡検査を実施し、患者さんへ身体の負担が比較的少ない治療を行っています。
 大腸癌のステージⅠ期については、令和2年末に病変の検出を支援するAI(人工知能)を用いた機器「EndoBRAIN-EYE」を導入しており、質の高い大腸内視鏡検査を実施し、早期発見に努める診療を行っています。

 UICC病期分類が不明の症例については、治療前の検査入院に該当する患者さんが多く、当院では早期退院を推奨しているため、退院後に検査結果報告がされる場合があるためです。また、当院では緩和ケア病棟を設置しており、他院より紹介されて入院した患者さんのステージが不明なことも一因となります。

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成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 - - -
中等症 32 47.41 79.00
重症 - - -
超重症 - - -
不明 - - -
 成人(20歳以上)の肺炎患者さんについて重症度別に患者数、平均在院日数、平均年齢を集計したものです。(市中肺炎とは普段の生活の中で罹患した肺炎を言います)肺炎は罹患率が高い上、死亡率も高く、国民の死亡原因の上位に位置する疾患です。
 当院においては重症度が「中等症」の患者さんの平均年齢が79歳で後期高齢者の年齢層になっています。市中肺炎は年齢が上がるごとに重症化し、全体の件数の2/3を後期高齢者が占めており、高齢者の肺炎が増加していることがわかります。
 特に慢性呼吸器疾患をお持ちの患者さんは繰り返し肺炎に罹患される方もいらっしゃいます。高齢で合併症を有する肺炎は重症化の危険性も高く、適切な抗菌薬の使用や酸素投与などの支持療法が大切となります。重症例では人工呼吸管理、栄養管理を含む全身管理を実施し、救命率の向上に努めております。

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脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
- - - - -
 脳梗塞の患者数、平均在院日数、平均年齢、転院率を集計しましたが、当院には脳神経外科の常勤医師が不在のため対象症例がほとんどありません。他の疾患で入院している際に、脳疾患の併発があった場合は、他院の脳神経外科と連携して対応しております。

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診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6182 中心静脈注射用植込型カテーテル設置 頭頸部その他に設置した場合  22 79.00 131.00 32.00% 89.41
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術 その他のもの   - - - - -
K0461 骨折観血的手術 肩甲骨、上腕、大腿 - - - - -
K5972 ペースメーカー移植術 経静脈電極の場合 - - - - -
K597-2 ペースメーカー交換術 - - - - -
 内科の集計で挙げられた手術の情報では、入院日数(=術前日数+手術日+術後日数)が非常に長期になっていることが特徴です。これは対象となった手術が予定手術ではないことを示しています。つまり、手術目的で入院されたわけではなく、内科疾患で入院が長期になった患者さんが経過中に必要に迫られ、受けた手術が指標に挙げられています。また、整形外科へ骨折に対する手術のため入院しましたが、心不全や肺炎等の内科的疾患を発症したために内科へ入院している例も挙げられます。
 中心静脈注射用植込型カテーテル設置は外科、骨折観血的手術は整形外科というように他の診療科の協力を得て、手術を行っています。
 経皮的冠動脈ステント留置術、ペースメーカー移植術、交換術は心臓に対する手術です。経皮的冠動脈ステント留置術は、合成樹脂でできた細長い管のカテーテルを腕や大腿の動脈から入れ、血管を通して心臓まで到達させ、冠動脈の狭くなった部分へバルーンを膨らませて拡張したり、ステントを留置することで血流を確保する治療です。同率3位のペースメーカー移植術は、不整脈等の心疾患に対し、めまいや失神等の症状が現れた場合に、安定した心拍の補助のために体内へペースメーカーを挿入する手術です。交換術は、移植したペースメーカーの電池交換の際に行う手術です。

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外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K616-41 経皮的シャント拡張術・血栓除去術 初回 142 0.28 1.68 0.00% 69.99
K616-42 経皮的シャント拡張術・血栓除去術 1の実施後3月以内に実施する場合 47 0.36 1.87 0.00% 69.68
K4763 乳腺悪性腫瘍手術 乳房切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 20 1.05 7.95 0.00% 64.15
K6147 血管移植術、バイパス移植術 その他の動脈 15 5.27 67.93 0.00% 62.93
K6113 抗悪性腫瘍剤動脈、静脈又は腹腔内持続注入用植込型カテーテル設置 頭頸部その他に設置した場合 15 0.00 1.80 0.00% 58.40
 外科では人工透析(腎臓の機能を代行する治療法)患者さんのかかりつけ医としての役割を果たすため、1位、2位の経皮的シャント拡張術・血栓除去術(血液の「送り出し口」「戻り口」である『シャント』が狭くなった部分へバルーンを膨らませて拡張するカテーテル治療)や、同率4位の血管移植術(人工透析患者さんの内シャントの設置の際、患者さん本人の血管を使ってシャントを設置するのが難しい時に、人工血管を移植し内シャント設置を行う治療)等の透析アクセス関連手術を積極的に行うようにしています。1位と2位は手術の内容は同じですが、手術を行った時期によって手術の名称が違うため分かれています。特に、高齢化により良好な透析アクセスが得られない症例が多く、これらの手術が重要な意味を持っています。
 3位の乳癌の手術症例は、根治性を損なわないことを原則とした上で治療にあたっています。
 同率4位の手術は、癌に対する薬物療法(抗癌剤、分子標的薬治療等)の薬液を注入するために皮膚の下へ『ポート』を埋め込みする手術です。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術 肩甲骨、上腕、大腿 61 0.98 29.93 15.00% 82.59
K0821 人工関節置換術 肩、股、膝 31 1.87 42.68 3.00% 76.23
K0811 人工骨頭挿入術 肩、股 29 0.79 35.14 21.00% 83.14
K0483 骨内異物(挿入物を含む。)除去術 前腕、下腿 22 1.00 2.59 0.00% 52.18
K0732 関節内骨折観血的手術 胸鎖、手、足 19 1.32 16.84 0.00% 64.42
 整形外科の1位は上腕や大腿の骨折に対する骨接合術です。特に大腿骨の骨折手術では、高齢者が多くなっています。これは、骨粗鬆症によって骨の強度が低下し、転倒等の比較的軽微な外力で骨折を起こしてしまうためです。自宅退院を目標に長期のリハビリテーションが必要な場合には、転院してリハビリをされるケースもあります。
 2位は、変形性股関節症、変形性膝関節症が高度の場合に行う人工関節置換術で、手術により痛みの軽減をはかります。
 3位は、股関節部の骨折に対し、人工骨頭を挿入する手術です。手術は、折れている骨(骨頭)を取りのぞいて人工物でできた骨頭に置きかえます。
 4位の手術は、骨接合術を行った患者さんの、体内に挿入した金属のネジやプレートを抜去する手術です。
 5位の手術は、手や足の骨折に対する骨接合術です。大腿骨の骨折に比べて平均術後日数が短く、早期に自宅退院することが出来ることが分かります。退院後は外来通院にてリハビリを行っている患者さんが多いようです。
形成外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K013-21 全層植皮術 25cm2未満 10 14.20 16.10 0.00% 67.60
K2193 眼瞼下垂症手術 その他のもの 10 0.00 3.80 0.00% 70.80
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術 単純切除 - - - - -
K2191 眼瞼下垂症手術 眼瞼挙筋前転法 - - - - -
K0871 断端形成術(骨形成を要するもの) 指(手、足) - - - - -
 形成外科は、主に身体表面に生じた組織の異常や変形、欠損等の疾患に対し、様々な手法や特殊な技術を駆使し、機能や形態を正常な状態に近づけ、患者さんの生活の質(QOL)の向上に貢献する外科系の専門領域です。
 1位は、全層植皮術です。植皮とは、皮膚移植のことで、身体の他部位から皮膚を採取して、皮膚が欠損している部位に移植します。移植する皮膚の厚さにより全層植皮(表皮と真皮を含み厚い)と分層植皮(表皮と真皮の一部を含み薄い)に分かれます。外傷による皮膚欠損、手術により組織を切除しそのまま縫縮(欠損を縫い縮める)できない場合等、皮膚が欠損したあらゆる部位に植皮は広く用いられます。
 同率1位、4位は眼瞼下垂(上まぶたが下がって眼が開きにくくなり、視野が狭くなったりものが見づらくなったりする状態)の手術です。下垂の程度を考えて術式を選択しますので、術式の違いによりKコード、名称が1位、4位に分かれています。手術後は、まぶたの圧迫や安静が必要なため、基本的には5日間程度の入院が必要になります。
 3位の手術は、皮膚癌の切除です。皮膚癌には多くの種類があり、代表的な皮膚癌と前癌状態である基底細胞癌、有棘細胞癌、悪性黒色腫(メラノーマ)やボーエン病、パジェット病、メルケル細胞癌に対して手術した症例となっています。多くは日光にあたる顔面や四肢に発生しますが、高齢者に比較的多いので、高齢化社会を迎える今後、皮膚癌の発生増加が予想されます。皮膚に気になる病変ができた場合は、早期に受診することをお勧めします。
 5位は断端形成術です。糖尿病による壊疽や、虚血性壊疽等で治療を行っても治癒が進まず手足の切断、創部の形成が必要となることがあります。

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産婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8982 帝王切開術 選択帝王切開 57 7.11 6.79 0.00% 32.79
K8981 帝王切開術 緊急帝王切開 48 7.25 6.73 0.00% 32.08
K877-2 腹腔鏡下腟式子宮全摘術 25 1.40 5.04 0.00% 46.88
K877 子宮全摘術 23 1.78 7.17 0.00% 48.78
K867 子宮頸部(腟部)切除術 21 1.14 1.00 0.00% 40.38
 産婦人科は、西胆振地域の『地域周産期母子医療センター』としての役割を有しています。その様な状況から、帝王切開術(選択ならびに緊急)が1位、2位にランクインしています。様々な合併症を伴ったリスクの高い帝王切開による分娩も他科と連携し、適切な管理を行います。また、新生児特定集中治療室(NICU)も備えており、他院からのハイリスク妊娠の紹介例についても、小児科をはじめ他科の協力のもと母児の管理を行っています。
 3位、4位は腹腔鏡下子宮全摘術、子宮全摘術です。子宮筋腫(子宮の筋肉にできる良性腫瘍)や子宮内膜症(子宮内にできるはずの子宮内膜が子宮外にでき、増殖、出血を繰り返す)を完全に治療する方法で子宮を摘出します。子宮はなくなりますが病気の症状は根本的に改善され、病気の再発の心配はなくなります。
 5位は、子宮頸部(子宮の入り口)の異形成(前癌状態)や上皮内癌(癌細胞が表面のみに留まっているもの)に対して行う子宮頸部円錐切除術です。病変部を含めて子宮頸部を円錐状に切除することにより、診断を確定すると同時に、どの程度の治療が必要であるのかを明らかにします。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術 眼内レンズを挿入する場合 その他のもの 283 1.28 0.93 0.00% 73.83
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術 網膜付着組織を含むもの 20 1.00 6.70 0.00% 67.10
K2683 緑内障手術 濾過手術 - - - - -
K224 翼状片手術(弁の移植を要するもの) - - - - -
K2423 斜視手術 前転法及び後転法の併施 - - - - -
 眼科では、白内障に対する手術である水晶体再建術(濁った水晶体を取り除いて、眼内レンズに置き換える手術)が集計対象手術件数のほとんどを占めます。
 2位は硝子体茎顕微鏡離断術(目の中に細い手術器具を入れ、目の中から網膜剥離を治療する)です。増殖糖尿病網膜症(高血糖の持続によって網膜の細い血管が障害されることにより起こり、進行すると網膜の虚血を補うため、網膜に新しい血管が発生し、硝子体へと伸びていきます)や網膜剥離(網膜が何らかの原因により眼球壁側から剥離したこと)、黄斑円孔(眼底の中心にある黄斑部の網膜に孔(あな)があく病気)等の網膜硝子体疾患に対する手術です。患者さんの状態によっては、上記の白内障手術と硝子体手術を同時に行うこともあります。
 3位は緑内障手術です。緑内障は何らかの原因で視神経が障害され視野が欠けたり狭くなったりする病気で、手術は眼圧を下げて進行を防止し、失明を予防するために行います。
 4位は翼状片(白目の表面を覆っている半透明の膜である結膜が、目頭の方から黒目に三角形状に入り込んでくる病気)手術です。初期症状はありませんが、病気が進行してくると視力が下がるため、早期発見が大切です。
 5位は斜視手術です。斜視は右目と左目の方向が病的にずれている状態をいいますが、外見上の問題ばかりではなく、人によっては複視(ものが二重に見える)・まぶしがり・片目つむりなどの症状があります。特に幼少期の斜視は両眼視機能(ものを両眼で立体的に見る力)の発達に影響するため、早期の治療が大切になります。

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耳鼻咽喉科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術III型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 27 1.93 5.11 0.00% 56.44
K3772 口蓋扁桃手術 摘出 14 1.43 6.43 0.00% 18.57
K4611 甲状腺部分切除術、甲状腺腫摘出術 片葉のみの場合 13 2.08 6.92 0.00% 69.62
K4571 耳下腺腫瘍摘出術 耳下腺浅葉摘出術 - - - - -
K309 鼓膜(排液、換気)チューブ挿入術 - - - - -
 耳鼻咽喉科は、副鼻腔炎(蓄膿症)に対する内視鏡下手術が多くなっています。副鼻腔(顔の内部に複数ある空洞)を鼻腔(鼻の穴)内に広く開放して、副鼻腔の換気をよくすることを目的に手術します。当院ではナビゲーションシステム(術中の器具の位置を、術前に撮影した精密なCT画像上に表示させるもので、カーナビゲーションで現在の位置がわかるものと同じシステム)を導入し、より安全、確実な手術治療が可能となっています。
 次いで多いのは、慢性扁桃炎や扁桃肥大に対する口蓋扁桃を摘出する手術です。 
 3位は、甲状腺(のどぼとけのすぐ下にある小さな臓器)の良性腫瘍に対しての手術です。腫瘍を手術で取り除きます。
 4位は、耳下腺腫瘍(唾液が作られる臓器である「唾液腺」にできた腫瘍)に対して行われる手術です。腫瘍を手術で取り除きます。
 5位は、小児で急性中耳炎を繰り返す場合や滲出性中耳炎(鼓膜の奥に水が溜まる病気)の場合に行う日帰り手術で、鼓膜チューブ留置術(鼓膜を小さく切って穴を開け、中耳に溜まった水を排出し、切開した場所がふさがらないように小さなチューブを入れる)です。小さなお子さんの場合は手術中に動いてしまうため、通常は入院の上、全身麻酔で手術します。

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泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 電解質溶液利用のもの 28 2.29 6.57 0.00% 73.21
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 22 2.23 2.14 0.00% 76.27
K7811 経尿道的尿路結石除去術 レーザーによるもの 12 4.33 6.92 0.00% 66.67
K8411 経尿道的前立腺手術 電解質溶液利用のもの - - - - -
K6113 抗悪性腫瘍剤動脈、静脈又は腹腔内持続注入用植込型カテーテル設置 頭頸部その他に設置した場合 - - - - -
 泌尿器科で最も多い手術は、筋層非浸調性(表在性)の膀胱癌に対する膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)です。尿道から内視鏡を膀胱へ挿入し、電気メスにて膀胱癌を切除し、腫瘍の組織型、悪性度、膀胱壁への深達度なども評価します。
 2位の経尿道的尿管ステント留置術は、何らかの原因によって尿路に閉塞を来した水腎症(満杯になった尿によって尿路が拡張してしまった状態)に対する内視鏡手術として、尿管ステント(管)を挿入する手術です。
 3位は、尿路結石に対して行うTUL(経尿道的尿路結石除去術)です。尿道から細径の内視鏡を挿入し、直接レーザーで尿路結石を砕く手術となっており、より低侵襲で最先端の治療法です。
 4位は、前立腺肥大症に対してTUR-P(経尿道的前立腺切除術)を行う症例で、尿路から内視鏡を挿入し、前立腺の組織を電気メスで切除します。1位の経尿道的手術と同様に電解質溶液を用いた、より安全性の高い術式を道内で最初に採用しています。
 同じく4位は、癌に対する薬物療法(抗癌剤、分子標的薬治療等)の薬液を注入するために皮膚の下へ『ポート』を埋め込みする手術です。

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消化器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 長径2cm未満 214 0.56 1.21 0.00% 66.63
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 28 9.43 23.18 14.00% 81.21
K6851 内視鏡的胆道結石除去術 胆道砕石術を伴うもの 26 9.08 5.85 4.00% 80.42
K6113 抗悪性腫瘍剤動脈、静脈又は腹腔内持続注入用植込型カテーテル設置 頭頸部その他に設置した場合 22 10.55 50.14 5.00% 72.27
K7212 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 長径2cm以上 21 2.95 3.24 0.00% 64.38
 消化器内科では、大腸腺腫や大腸ポリープに対する内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術の症例数が最も多くなっています。粘膜切除術、ポリペクトミー目的の1泊2日入院が典型的な症例です。腺腫やポリープの大きさで1位と5位に分かれています。
 2位は、胆道ステント留置術です。胆管に狭窄がある場合、プラスティックや金属のステント(管)を内視鏡で胆管内に埋め込む治療が行われています。
 3位は胆石症に対する内視鏡治療です。胆石症は、胆管の十二指腸への出口である十二指腸乳頭から処置具を挿入して使用することにより、胆管結石を砕いたり、採ったり、また掻き出したりすることが可能です。
 4位は、癌に対する薬物療法(抗癌剤、分子標的薬治療等)の薬液を注入するために皮膚の下へ『ポート』を埋め込みする手術です。
消化器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 33 8.94 7.97 3.00% 63.64
K6113 抗悪性腫瘍剤動脈、静脈又は腹腔内持続注入用植込型カテーテル設置 頭頸部その他に設置した場合 11 0.00 2.82 0.00% 67.91
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの 10 0.60 3.80 0.00% 41.20
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 - - - - -
K672 胆嚢摘出術 - - - - -
 消化器外科では胆嚢炎や胆石症等の胆嚢疾患に対する摘出術が最も多い手術となっています。急性胆嚢炎を起こされた患者さんは、内科的な治療後に消化器外科で手術を行う場合や、状態によってはすぐに手術を行う場合もあります。手術方法の違い(開腹、腹腔鏡)によって1位と同率4位で分かれています。
 2位は、癌に対する薬物療法(抗癌剤、分子標的薬治療等)の薬液を注入するために皮膚の下へ『ポート』を埋め込みする手術です。
 3位は虫垂炎に対する手術療法です。虫垂(盲腸)が何らかの理由により炎症を起こした場合であって、症状が強く、保存治療が困難な際に切除を行います。
 同率4位の結腸切除術は、大腸癌の手術で、とり残しのないように癌の広がっている可能性のある腸管とリンパ節を切除します。腹腔鏡下手術は創が小さく手術後の痛みも少ないため回復が早いです。腹腔鏡下手術で行えるかどうかは、病状の進行状況や体格、以前に行った手術や治療中の病気等で異なりますので、主治医と十分相談の上で決定する必要があります。

※厚生労働省の公開条件に従い、10症例未満は【-】で表示しています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 - -
異なる 16 0.35%
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 19 0.41%
異なる - -
 医療の質の改善に資するため、臨床上ゼロにはなりえないものの少しでも改善すべきものとして定義される感染症および合併症の発症率を示したものです。

 医療資源を最も投入した病名と入院のきっかけとなった病名が同一かそれ以外で件数を集計しています。
  『同一』ということは、ある病気の診療目的で入院して、その病気の治療を行ったということを表します。一方『異なる』ということは、ある病気の診療目的で入院したが、併発していた、もしくは入院中に発症した違う病気(この指標の場合は、敗血症、手術・処置等の合併症)による治療が主だったものになってしまったことを表します。当然、発症率は低いほうが良いのですが、免疫力が低下しているときに合併して発症することが多いため、コントロール困難な症例と言えます。但し当院の発生率はいずれも0.5%以下となっております。
 当院ではDPCを播種性血管内凝固、敗血症とする際は、臨床的に根拠のある診断を基に投入された医療資源を勘案して、入院医療費請求を行うよう努めています。

※厚生労働省の公開条件に従い、10症例未満は【-】で表示しています。
更新履歴
2021.9.29
令和2年度日鋼記念病院指標公開

過去の病院指標


平成29年度 日鋼記念病院 病院指標


平成30年度 日鋼記念病院 病院指標


令和元年度 日鋼記念病院 病院指標